エディプスコンプレックス Oedipus complex
自立的な人格を確立する前の子供(特に男の子)は、母親と密着し、精神的に未分化な状態にある。しかし、自我意識に目覚めてくる中で、母親が自分だけのものではなく、父のものであることに気付く。母を取り戻したいと願うが、社会的な規範や秩序を体現する父(=超自我)には勝てないことを思い知らされる。そこで、母に依存している自らの状態を克服し、自立した人間になろうとする。その際に不可避的に、既に自立した大人であり、規範や秩序を身に付けている父、あるいは父的な存在をモデルとしなければならない。父をライバル視しながら、同時にモデルとすることで、子供は自らのアイデンティティを獲得することになる。こうした幼児の心理的葛藤を、自分の本当の両親を知らないまま、実の父を殺し、実の母と結婚したギリシア悲劇の主人公エディプスの生涯に 準えて、エディプス・コンプレックスと呼ぶわけである。
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